これを読んで下さっているお父さん・お母さんは、お子さんの英語環境づくりに関心を持っていたり、すでに積極的に取り組んでいらっしゃる方だと思います。とても素晴らしいことですね!
将来お子さんに、英語が自由に使えるようになって欲しいとか、お子さんが英語で困らないように、という思いがあってのことだと思います。
あなたのお子さんは将来、英語で何を伝える人になるのでしょう?
もう15年以上前のことになりますが、私の経験を紹介します。
目次
国際学会で発表?
私は理系の大学を卒業し、以前食品関係の企業で働いていました。研究ではなく、品質管理のような仕事です。ある時、どうしても品質管理の方法について社内で検討しなければならない課題が出てきたのです。そこで、卒業した大学の研究室の教授に相談したところ、大学との共同研究という形で研究をすることになりました。そのおかげで課題が解決し、日々の業務で活用することができるようになりました。
その後この教授から、「海外で行われる国際学会に一緒に参加して、ポスター発表してください。」とのお話!この時の経験が、私が子供の英語教育に関わってみたいと思うきっかけにもなりました。
ほとんど何も話せなかった・・・
日常会話程度の英語は話せたものの、会社での普段の業務はもちろん日本語。英語に触れるのは、参考文献を読んだりするだけで、専門分野について話す機会はほとんどありませんでした。大学で勉強したことを復習しなおしたりして、なんとか研究に関する専門用語を頭に入れ、「この発音で通じるだろうか?」など、英語力を気にしながら国際学会に臨みました。
各研究者の研究内容を展示したポスター会場では、あちらこちらで発表者と他の研究者たちが積極的にディスカッションしている姿がありました。
一方私は、何人かの研究者がポスターの前で足をとめてくれても、質問には満足に答えることができずに終わったのでした。研究そのものや関連することについて、圧倒的に知識が不足していました。
世界には様々な英語がある
また、その国際学会で他の研究者の発表やディスカッションを聞くと、さまざまな英語が飛び交っていました。
「カナダやアメリカの研究者の英語は、これまでに習った英語に近くて聞き取りやすいな。」
「ニュージーランドの人たちは、オセアニア特有のなまりが強くて、全然違う単語に聞こえる!」
「スペイン語圏の人たちの英語は、Rの発音ではないところでも巻き舌がかかっているように聞こえるし、やたら研究内容をアピールしてくるなぁ」
などなど・・・。
そこでは自分の話す英語と多少違っていてもお互いに熱心に耳を傾け、意図を確認しながらも、他の研究者の発表から何かヒントを得て、研究解決の糸口を見つけたい、という各国の研究者の積極的な姿勢がありました。「さすがは第一人者の先生方の集まる学会だなあ」と思ったものです。
素晴らしい日本の先生方
日本人の先生もこの教授を含め何人か参加されていて、皆さん第一人者でしたので新たな研究成果を英語で発表していて、たくさんの質問をうけたり、他の研究者とも英語で熱くディスカッションしている姿を間近でみることができました。
日本人の先生方は、全員がすごく流暢に英語を話すというわけではなかったと思います。「英語は苦手」と謙遜する先生もいましたし、発音も日本人の話す英語、という感じでした。ですが、海外の研究所で長年指導したり、外国の研究者とはプライベートでも仲が良いなど、学生の時にはわからなかった先生の人となりなども垣間見ることができた貴重な経験でした。
この経験で感じた事
この学会で私が強く感じたことは、以下のようなことです。
- やっぱり世界では、英語でのコミュニケーションが当たり前。でもキレイな発音とか流暢さは、良いに越したことはないけれど、むしろ「何を伝えられるのか」、という中身の方が大事。研究内容が素晴らしいからこそ、日本の先生方の話をききたいという研究者が多かったのだ。
- 豊富な知識や経験、自分なりの考えなど「伝えたい何か」がないと、たとえ英語を話すスキルがあってもコミュニケーションできない。
- 他の国の人たちは、自分の話す英語が相手にどのように聞こえているかとか、あまり気にしていない。「とにかく伝えたい」、という気持ちが強い。
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将来世界で活躍できる子どもに!
日本に帰ってきて、職場をあらためて見ると、男女問わず大卒や大学院卒の、とても優秀で勤勉な人たちが一緒に働いていました。でも「英語は苦手」という人も多く、なんかとてももったいない気がしたのです。優秀な日本人が、もっと海外に向けて活躍できるんじゃないかなぁと思いました。
その後自分にも子供ができ退職して、次はどんな仕事をしようか?と考えたとき思い浮かんだのが、この時の経験でした。
自分が満足に英語を使えなかった経験と、国際的な場で活躍していた教授たちの姿を思い出しながら、こう思いました。
「これからの子どもたちは、自分の得意分野で英語を使って世界でリーダーシップをとれるくらいになって欲しいな。」
「小さい子供のうちから英語に触れて、英語力はキープしながら、やりたい事をみつけて進んでくれたら、世界で活躍してくれる日本人が増えるのでは?」
そして自分は英語の方をお手伝いできたら・・・、と思ったわけです。
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お子さんの「好き」や「得意」を見つけるために様々な体験を
だから今、お父さんお母さんがまだお子さんが小さいうちから、英語環境を作ろうとしていることは、本当に素晴らしいことだと思います。
英語はお子さんが、ずーっと付き合っていくものになるでしょう。
同時にせっかく始めた英語を使って「お子さんが将来、何を伝えられる人になるのか?」を見つけるサポートもしていかなくてはなりません。
お子さんは何が好きなのか、得意そうなのか?は色々なことを体験してみないとわかりませんよね。
中には、やってみたけどそんなに楽しいと思わなかった、と思うこともあるでしょう。それもお子さんにとって貴重な体験になります。
きっかけ作りと成長の応援をしていきましょう!
お子さんは、この世界にどんなことがあるか、まだ知りません。
色々な情報を集めて、お子さんの年齢に応じて「やってみる?」ときっかけを作ってあげることが、お父さんお母さんのできることなのだと思います。
そしてあとは、与え過ぎず見守り応援する。
お子さん自身が、成長の過程で様々な経験をして考えたり、お友達と協力したりしながら、興味のあることを見つけていってくれると思います。
お子さんの成長を楽しみながら応援していきたいですね!