ITやAIの発達で、『これまで存在した職業の半分がなくなるかもしれない』、と言われているこれからの時代。
今の子供たちが仕事を持つ頃には、母国語の異なる人たちと、問題を解決できるような力が必要になると言われています。
英語を使って深くコミュニケーションできる力を持つことが求められてきます。
目次
コミュニケーションのために必要な力
深いコミュニケーションをするためには、さまざまな力が必要ですが、英語力の他に、以下の3つが大きな要素になります。
1.豊富な知識と、それに基づいて考える力
例えば「仮想通貨」について、そもそもお金の流通やインターネットのことを良く知らない人が、このテーマについて深く掘り下げて、話をすることができるでしょうか?できませんよね・・・。
コミュニケーションするには、そのテーマについて色々な角度から情報を集めて知識を得て、自分なりの考えを持つことが必要になります。
2.伝える力
自分なりに考えたことが、相手に伝わらないとコミュニケーションにはなりません。
似たような意味を持つ言葉から、適切な言葉を選んで使ったり、相手に合わせてわかりやすく説明することが必要になることもあります。
また、初めに何を言って、次にどう具体的に説明し、最後にどのようにまとめるか、という伝え方の順序を考慮しなければならない場面が、話す時にも書く時にも、たくさんあると思います。
3.相手を思いはかる力
人と人とのコミュニケーションでは、感情が動きます。相手がどのように自分の言葉をうけとめたのかを考えたり、相手のことを理解しようとする力が重要になってくると思います。
相手を嫌な気持ちにさせずに、言いにくいことを言わなければいけない、ということも出てくるかもしれません。
このような3つの力をつけるために、お子さんが小さい頃から意識した方がいいと私が考えているのは、日本語での読書の習慣です。
読書で「読み取る力」をつける
明治大学教授の齋藤孝先生の著書「子どもの学力は読解力で決まる!-小学生のうちに親がゼッタイしておきたいこと」によると、日本語の語彙は、ほとんどが書き言葉にあるそうです。
言語能力を高めていくためには、書き言葉を大量にインプットする、つまり「読む」ことによってはじめて身に付くそうです。
小学校に入ると、教科書などを「読む」ことが始まりますが、この時期に読解力をつけることが一番効率がいい、とも述べています。
英語力との関係もある!
読書習慣があり本をよく読む子と読まない子では、英語の力に差はあるでしょうか?
私の子供向け英語教室の講師の経験から、読書習慣のある子は、言葉をよく知っているので英語の理解も早かったり、特に小学校高学年で読み・書きが得意になる子が多いです。
小さい頃から英語に触れていても、子供の知っている言葉の数には限界があります。
たとえ相手の言っている英語が聞き取れても、それが何を指すものであるかは、よほど英語圏で長く生活している人でない限りは、わからないことが多いと思います。
成長するにつれ、日本語に置き換える場面は少なからず出てくるでしょう。
英語の意味はわかるけど、日本語に直すとわからない、という人はほとんどいないはずです。
ですから、国語の力は大事になってくると思うのです。
国語・英語以外の教科も、結局は国語の力
子供たちにとって高いハードルとなる受験も、国語・英語はもちろん、算数の文章題や理科・社会どれをとっても、「出題の意図は何か?」「要するに何を答えればいいのか?」は、文章を読み取る力にかかっています。
「説明しなさい」という問題では「何が、どうなっている」かということを、小論文では自分の考えを文章にまとめて、的確に伝えられなければなりません。
読書の習慣があれば、子供たちが社会に出て必要な情報を得たいときに、活字や文章を読むことに抵抗もないでしょうし、豊かな表現力で伝えることができるようになると思います。
読書の習慣をつけるには?
1.まずは読み聞かせから
お子さんが小さい頃は、絵本の読み聞かせをたくさんしてあげましょう。お子さんが飽きるまで、同じ本で良いのです。
お子さんは、お父さん・お母さんがそばにいてくれること、お父さん・お母さんの声で読まれるお話しが大好きだと思います。
そのようにして、本にふれる習慣や「お話って楽しい」という経験を、たくさんさせてあげましょう。
関連記事:[英語が話せないママ向け] 英語絵本の選び方、読み聞かせのコツ
2.お子さんの興味のありそうな本を選んで
「本を読みなさい!」というだけでは、お子さんは読むようにはなりません。
字が読めるようになってきたら、お子さん自身の力で本を読めるようになる手助けをしてあげてください。
一緒に図書館や書店に行って、手に取るところからはじめてみましょう。
親は、いわゆる名作を読ませたくなりがちですが、まずはお子さんの興味のある本で良いと思います。
3.一緒に読んでみましょう
子どもにとって、声を出さずに読む黙読は、音読よりも難しいことだそうです。
音読の方が、一つ一つの文字をとばさずに読むことになるので、国語の力をつける意味でもいいですね。
お父さん・お母さんと一文ずつ交代で音読してみたり、「声を揃えて音読」、「高速で音読」なども面白がって取り組めると思います。
はじめはたどたどしい読みでも、読もうと努力していることを、たくさんほめてあげてください。
4.同じ本を読んで感想を言ってみよう
本の内容や主人公がとった行動などについて、「もし自分だったら同じようにしたかな?」など、お互いに感想を言ったり、お子さんが考えたことを聞いてあげてください。
「おもしろかった!」のなら、「どの部分が?」とか「なぜ?」と掘り下げてみてください。
これは、考える練習になるのと同時に、同じストーリーに対して、自分と違う考えを持つ人がいる、ということをうけとめる機会になります。「どうしてそう考えたんだろう?」と相手のことを思いはかれる人になれると思います。
特に物語は、登場人物の感情や行動がもとになってでできていますし、例えば「おもしろい」という言葉もさまざまに表現されているので、語彙力を増やすのにもおすすめです。
外国作品なら、日本との衣食住の違いや文化なども読み取ることができます。
お子さんとの読書の時間を楽しみましょう!
忙しい日々の生活で、お子さんとの読書の時間をとるのは難しいこともあるかもしれません。
でも、成長するにつれ、学校の授業や習い事で、お子さん自身が忙しくなっていき読書の時間も少なくなりがちです。
ぜひ、お子さんが小さい今のうちから、読書を一緒に楽しんでください!
参考:「子どもの学力は読解力で決まる!-小学生のうちに親がゼッタイしておきたいこと」 齋藤 孝 朝日新聞出版