ヨーロッパから広まった英語教育法CLIL(クリル)ってご存知ですか?
英語を学びながら知識人になれちゃう一石二鳥な教育方法なんです!
近年ヨーロッパを中心に広まっている英語学習法で、世界で注目されています。
すでにECCなどでは取り入れられている教育法で、2020 年から英語が小学校で「教科」になることを踏まえ、小学校の英語教育現場でのCLIL 活用が議論されています。
今回は、そんな注目のCLIL について分かりやすく解説します!
CLILとは?
CLILとは「Content and Language Integrated Learning」の略称です。
日本語では「内容言語統合型学習」と訳され、理科や社会科、時事問題などを英語で学ぶ学習方法です。
つまり、「英語を学ぶ」のではなく、様々な分野を学ぶ中で「英語を利用する」学習法になります。
CLILを導入することで、英語の4技能「聞く」「話す」「読む」「書く」の能力を高めることができ、英語教育内容とそのものの質を高められるといわれています。
CLICの要、4つのCとは?
CLILの一番の特徴と言えるのが、「4つの C 」によって構成されているという点です。
- Content(内容や科目)
- Communication(言語スキル)
- Cognition(思考力)
- Community(共同学習)
効果的にCLILをおこなうのであれば、これらの4つのCに基づいて効果的に授業が組み立てられる必要があります。
CLILで扱う題材
CLIL では、理科や社会などの授業科目や身近なテーマを扱った題材を用います。そのため、使用する教材は新聞や雑誌などの旬な素材を多用することになります。
こうして生きた英語に触れることのできるということは、モチベーションの向上にもつながります。
現在身近にあること、実際に起きているニュースを学ぶことは、より興味を持ちやすくなるのだけでなく、実生活に役立てていくことが可能です。
CLILが使われるようになった背景
CLIL はもともと1990年代にヨーロッパで始まり、ヨーロッパを中心に発展してきました。
その背景として、EU (欧州連合)の発足が要因となっています。EUの成立によってヨーロッパ各国の人の行き来が増し、市民同士の外国語でのコミュニケーションの機会や必要性が急増しました。
その結果、EU 圏内での各国市民の多言語でのコミュニケーション能力の育成と多文化への理解が必須となったのです。
そういったことから、英語だけでなくヨーロッパ各国の言語教育において、CLILは幅広く採用されています。
CLILの魅力
英語力が身につくだけでなく、新しい知識を身につけることができるのがCLILの魅力のひとつです。授業内容そのものに興味を持つ事ができるのは理想的ですね。
すでに一部の小学校では、試験的にCLILを利用した英語学習を実施しているところもあります。
CLILの導入により、児童の興味・関心に合わせた授業の実現と生きた英語の中での体験学習の実現が可能だといいます。
CLILは日本人に効果的
日本人の英語学習者の多くは、間違いを非常に恐れる傾向にあります。
その要因の一つには、長年の暗記重視の学習方法から、正確性を重要視することが身に付いてしまっているという点があると考えられます。
ミスをすることは恥ずかしいと感じ、授業中は発言を控えるという行動につながってしまうのです。
しかし、CLIL では文法やボキャブラリーの正確さよりも「必要なことを伝える」ことや「大まかに理解する」といったことが重要視されます。
そのため、間違いをすることへの不安が感じにくくなるのではと期待されています。
CLILの課題
小学校での CLIL を導入した活動は理想的ではあるものの、課題もあります。
まずは、教える側の負担が大きいということです。授業のための教材の作成、取り扱う題材の検索、また扱う内容が児童にとって適切かどうかなどの判断が求められます。
そして、小学校の教員の英語力の問題があります。
現在の仕組みですと、基本的に小学校の教員が、ALT(外国語指導助手)などを活用しながら英語の授業を担当します。
英語が苦手な教員もいる中で、こういったレベルの授業を行うことは、現実的には難しいのではないかとは思います。
こうしたことから、小学校の授業での導入には、しっかりした制度を作ること、教員のトレーニングが必須となります。
こうした指導する側の体制をきちんと整えることがCLIL を浸透させる上での大きな課題となるでしょう。
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まとめ
いかがでしたか?色々な英語教授法がある中で注目されるCLILについて、説明させていただきました。
すでに一部では実施されているメソッドですので、これから耳にする機会が増えてくるかもしれません。
日本での英語教育環境は、試行錯誤の中でも少しずつ整いつつあります。
ぜひCLIL学習法が定着していって、小学校からしっかり英語を身につけられるようになるといいですね。