みなさんは日本の学校教育にどんなイメージを持っていますか?
海外の教育がどんどん進化し、日本の教育が時代遅れだと最近耳にしますが、実は日本の学校教育も捨てたもんじゃありません。
日本で過ごしているとなかなか気づきにくいですが、世界的には日本の学校教育の特徴や良い面が評価されています。
今日は、自分たちが当たり前に受けてきた日本の学校教育について、その特徴や優れている点をあらためて見ていきたいと思います。
目次
7つの世界に誇れる日本の学校教育
日本の学校教育が優れている点① 世界に誇れる日本の学校給食
日本の学校の大きな特徴のひとつは「給食」があるということ。
日本の学校給食は
- 安くて栄養バランスが考えられている(1食あたり約250円)
- 食育の一部になっている
という特徴があります。
日本の給食は文部科学省の指導に基づいて、一食あたりのカロリーや栄養価、予算など細かく定められているそうです。
小中学校では毎月の献立表があって、自分たちが口にする食事の材料や栄養バランスなどを自然に意識することができましたよね。
食育の一環として、給食センターの方が「栄養」についてお話に来てくださった記憶もあります。また、地域で野菜を使うなど「地産池消」を意識した給食も積極的に取り入れられています。
(筆者の住んでいる地域は味噌・たまりの醸造業が盛んだったので、学校給食で豆味噌のお味噌汁や五平餅などを食べたのが印象的でした)
学校という義務教育の場で、安価かつ栄養満点な給食を通して「食育」の場も提供してもらっていたと思うと、これは本当に素晴らしい制度だと感じます。
海外にも給食制度はありますが、ファストフードに近いものだったり、栄養価への配慮は不十分だったりと、日本の給食のレベルはかなり高く評価されています。
日本の学校教育が優れている点② 子供が学校を掃除する
日本の小中学校では、毎日掃除の時間がありますよね。
自分たちの使う教室やトイレ、校庭など決められた場所をみんなで掃除します。実はこれ、日本ならではの文化なんです。
海外では、子どもたちではなく清掃員(Janitor)が校内の掃除を行います。そのため、校内を汚していることや掃除の大変さを学校で体感することは少ないようです。
日本では、学校での掃除の時間を通して「汚したら自分たちでキレイに掃除する・片づける」という意識が自然と根付いています。次に使う人のことを考えて公共の場をきれいに使えるのは、とても大切なことですよね。
日本の学校教育が優れている点③ 子供たちだけで登下校する
日本では、小学校にあがったら子どもたちだけで学校に通うようになります。朝は決まった時間に子どもたちだけで集合して、高学年が低学年を先導する姿がよくみられますよね。これは欧米の方からすると信じられないようで、とても驚かれます。
アメリカに住む知人は小学生の娘さんを毎日車で送っていくといっていました。これは決して過保護なのではなく、「危険」だから。どの家庭でも当たり前に送迎がされているそうです。
日本は、世界有数の治安の良さから子どもたちだけで登下校することがずっと当たり前でしたし、夕方まで子どもたちだけで公園で遊んでいる姿も当たり前に見られます。
最近は子どもをターゲットにした悲惨な事件なども増えているため、注意は必要ですし、今後変わっていくかもしれません。
それでも、世界的に見ると、まだまだ子どもたちが安全に生活できる国だと評価されています。子どもたちが協力して通学することで、交通マナーを考える機会も多くあるのは大きなメリットですよね。
日本の学校教育が優れている点④ 協調性・集団生活を大切にする
日本の学校では、協調性・集団行動を大切にする場面がよくみられるの特徴のひとつです。
授業の前には起立して先生に礼・挨拶をするし、体育の授業などでは整列をしたり、集団行動をする練習をしたりします。運動会は足並みそろった行進からはじまるのも、日本独特で典型的な集団行動ですよね。
やはり社会に出てチームで仕事をしたり、人間関係を築いていく上では、一定の協調性を大切にする必要があります。もちろん、集団行動を重視するあまり、個性を出せなかったり、単独での行動が苦手になってしまうのは本末転倒。
バランスは難しいところなのですが、少なくとも「義務教育」の限られた場面においては、集団で行動できる、という力も必要。みんなで生活する学校という場面で、協調性を大切にする心構えや集団での行動の仕方を学べるのはありがたいことです。
日本の学校教育が優れている点⑤ 勉強する姿勢を早くから身につける
日本では小学校で、比較的早い段階から子どもたちに「座って勉強する」姿勢を教えます。たとえばアメリカの公立小学校で教えられる授業の内容は最低限の内容にとどまり、低学年のうちから補習校へ通う子どもが数多くいるそうです。
その補習校として人気なのが日本の公文式(KUMON)。
公文式の特徴は繰り返し同じ問題やプリントを解かせるスタイル。こういった反復練習をメインとした授業スタイルが子どもの理解度を深めるとして世界的に評価されています。
また、欧米では、小さなうちから子どもに熱心に勉強させる母を”タイガーマザー”と呼びます。“タイガーマザー”は、もとは2人の娘を超スパルタで育てた中国人の母親がモデルとなってできた呼称。そこから派生して、日本や中国の教育ママに対して使われる言葉となっています。
もちろん、欧米でも熱心な親御さんはいますし国民性で区別できるわけではありません。しかし、日本や中国をはじめとしたアジアの教育現場への関心は高く、欧米でも“タイガーマザー”のように厳しく教育するスタイルを貫く親が増えてきているそうです。
日本の学校教育が優れている点⑥ 義務教育に留年制度がない
日本の義務教育にあたる小・中学校は、年齢にあわせて毎年1学年ずつ進級します。
よっぽどのことがない限り留年はしません。しかし、アメリカをはじめとする欧米諸国では、たとえ小学校であっても留年をすることがあり得ます。
日本の学校教育はどんな成績の生徒でも進級できる平等主義なので、経済状況や家庭状況、個人の特性に関わらず基本的には中学卒業を迎えさせてもらえるのが当たり前。
もちろんその制度の上にあぐらをかいて勉強をサボったりしてはいけません。
しかし、義務教育を修了しなければ、その後の進学や就職はかなり困難なものになります。学校に通えなかったり、勉強が苦手だったり、と学校生活に苦労している子でも義務教育は平等に終えられるという点は安心できますよね。
日本の学校教育が優れている点⑦ クラブの部活動が充実
日本では小学校のクラブ活動、中学高校の部活動があります。甲子園や各部活動の全国大会があるなど、かなり真剣に取り組む学校も少なくありません。
海外では、地域のクラブチームやサークルに所属するスタイルが主流で、学校での「部活動」というシステムは日本独特なようです。
学校という教育現場の部活動だからこそ、気軽に参加できるし、勉強以外の面で友達や先輩後輩と親睦が深められるというメリットがあります。
部活動には顧問がつくので、教員の負担になっているのは事実。バランスは考えていく必要がありますが、子どもたちが成長できる部活動のシステムは日本の学校の優れた点といえます。
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おわりに
今回は日本の学校の優れた点7つをご紹介しました。日本に住んでいるとどれも当たり前なので「世界は違うの?!」と驚いた方もいるかもしれません。
もちろん、世界の教育から学ぶべき点や日本の教育が遅れている点もあると思いますが、ある意味「日本らしい」教育の特徴も素晴らしい点があり、大切にしていくべきだなと感じました。
勉強や部活動、生活面など、子どもたちと一緒に取り組んでくださっている先生には感謝したいですね。