子供に習わせたい習い事で常に上位にランクインする英語。
多くの幼稚園で外国人講師による英語の時間を設けていたり、All Englishの幼稚園や学童保育も増えてきています。
このように子どもへの英語教育の低年齢化がすすむ中、幼児期からの英語教育に異論を唱える研究者も多くいます。
早期英語教育に反対派、賛成派それぞれの意見を紹介しながら、英語を始める時期や取り組み方について考えてみましょう。
早期英語教育の是非がテレビで話題に
2017年9月放送の「林先生が驚く初耳学!」(TBS系)で、ある女性芸能人が家族での渡英を控え、子どもが1歳のころから英語を習わせていると言ったことに端を発し、林修先生は「幼児に英語教育は不要」と発言。
「子どもに早期英語教育をやらせている東大出身の親に会ったことがない。英語ができない親ほど早期教育を支持している。」
「幼児期は、英語よりも思考力を伸ばすべき。」
と持論を展開しました。
これに対し、ある大学の准教授が、「『望ましい英語教育開始時期』について、日本人全体から無作為に抽出して調査した結果では、英語ができる親の中にも早期英語教育を受けさせたいと考える人も多い」と反論しました。
さらに、英語よりも先に思考力を身につけさせるという林先生の考えに対して、渡英のために習わせているという目的からずれていると指摘しました。
すると林先生は、「日本語で論理的思考ができない人間が、どうして英語で論理的思考ができるんだ」というノーベル化学賞受賞者の白川英樹先生の言葉を引用して持論を強調しました。
早期英語教育に反対する専門家の意見
早期英語教育に反対する専門家が多くいることは事実です。
主な主張に以下のようなことがあります。
- 赤ちゃんの脳の中では、より使用頻度が高い言語のネットワークを強化し、そうでないネットワークをシャットアウトすると言われている。バイリンガルにするためには、英語も日本語と同じくらいの量をインプットしなければならず、子どもにとって相当のストレスとなる。下手をすると、過度なストレスにより日本語も英語も一定レベル以下のコミュニケーション力しか持たない子供になってしまう。
- 言語は、コミュニケーションの道具であると同時に、思考の道具である。英会話を習うなどで多少英語が話せるようになっても、家庭や園・学校で過ごすほとんどの時間が日本語ならば、考える時には日本語になる。だから、小学校高学年である程度、論理的な思考力がついてから始める方がよい。
- 子どもは習っても使わない環境ではすぐに忘れてしまうから、効率が悪い。それならば、語学の習得ばかりに注力せず、他の色々な経験をさせたほうが良い。小学校高学年や中学校からでも、やる気になればできるはず。
早期英語教育に賛成する専門家の意見
一方、早期英語教育に賛成の専門家の意見には、以下のようなものがあります。
- 聴覚機能が完成する小学校低学年ごろまでにたくさん英語を聞いたり話したりすることで、英語独特の音やリズムが聞き取れる「英語耳」を育てることができる。それにより、LとR、THなど日本語にはない音を聞き取って、きれいな発音で話すことにつながる。
- 幼児期は口や喉の動きが「日本語仕様」になりきっておらず、英語らしいきれいな発音につながる「口」の動きをつくることができる。
- 年齢が上がると日本語との違いに戸惑いがでて、必要以上に「難しい」と感じたり、発音に恥ずかしさを感じる子も出てくる。子どもそれぞれに得意・不得意なことがあり、語学習得も同様である。年齢が上がってから不得意なことを習得するのは、子どもにとって労力を伴うものになる。一方、幼児期から始れば抵抗感が少なく、小さなステップを積み重ねながら身につけられる。
- 英語を「勉強」ではなく、歌、ゲーム、クラフトなど、体を動かしながら子どもの興味のある活動の中で行うことができるのは、幼少期ならでは。幼少期からの「英語は楽しいもの」という気持ちや自信が、成長してからも英語や異文化への興味につながり、主体的に学べるようになる。
結論:やっぱり早期英語教育に賛成!
このようにみてくると、早期英語教育に賛成・反対の意見それぞれに、「なるほど」と思う部分があります。
例えば、「思考力を伸ばすことが重要」という意見はその通りで、多くの日本人はたとえ英語に幼少期から触れていても、やはり日本語で考えることになるでしょう。
日本語でも知らないことや考えたことのないことについては話すことができないように、英語を話すスキルがあっても知識や思考力がなければ、結局はコミュニケーションの場面で何も言えない、ということになってしまいます。
ですが、私はやはり幼少期からの英語教育に賛成です。
その理由の
1つ目は、抵抗感の少なさです。ある程度成長してから英語に触れたときには、「わからない!」とすぐさまシャットアウトする可能性があります。
2つ目はスポーツや音楽の練習と同様で、たくさん繰り返して「慣れる」ことができるという点です。
これら2つのことは幼児期からであれば、遊び感覚の中で抵抗感なく養うことができ、「良く聞いたらわかった」、「口に出したらわかってもらえた、ほめてもらえた」というコミュニケーションの素地になります。
また、「英語が好き」「得意」という気持ちがその後、本格的に使う時期が来たとき、英語に主体的に向き合う原動力になってくれると思っています。
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幼児期の利点を生かして
賛否の意見を参考に、幼児期からの英語は、耳や口の発達段階にあり、抵抗感が少ないといった利点を生かした取り組み方をすることに気を付けると良いでしょう。
まずはお子さんが楽しんでいるかどうかを大事にしたいですね。
幼児期は他のこともたくさん吸収できる素晴らしい時期です。
お子さんの興味のあることをたくさん経験させて、思考力を養うことにもつなげていきたいですね!
参考サイト:
・PRESIDENT Online「ペラペラな親ほど早期英語教育に”冷淡”」
・レタスクラブニュース「林修先生幼児に英語教育は不要」
・Business Journal「英語の早期教育に英語の専門家がこぞって反対する理由」
・Yahooニュース(2017.9.26)
・ベネッセ教育研究所