近年、ビジネス書を中心に思考力、考える力を高めるための本が数多く出版されていますね。
考えることの大切さが改めて重要視されてきた背景には、世界経済や社会の目まぐるしい変化があるようです。
これまでの常識や手法は通用せず答えがない世界で生き抜くためには、自ら考える力が武器となります。
そこで今回は、家庭で実践できる子供の思考力、考える力の鍛え方を紹介します。
目次
学校で「考える力」は育たない
方程式に当てはめる、答えを選ぶ、丸暗記する…日本の学校で教わるのは答えがある問題や、受験に照準を合わせた授業がメインです。
確かに成績は伸び知識も豊富にはなりますが、正解が用意されていない問題を解決へと導く考え方は教わっていません。しかし社会人になれば論理的な思考力が求められます。
もはや学校で「考える力」の育成が期待できないのであれば、家庭で教えていくしかありません。
以下に紹介する思考力を鍛える方法は家庭で実践できることばかりです。
これらの方法が習慣化すれば、深堀りして良い案を見出せるようになり、自分のために必要な学びや行動が明確になります。
子供の思考力を鍛える方法10選
①知的好奇心を刺激する
「どうして?」「これはどこの国?」子供は疑問を抱くとすぐ質問してきますね。興味全開のこの瞬間を逃さないためには即座に答えることがベストです。
リビングやダイニングのすぐ手が届くところに図鑑や地図(地球儀)を準備して、親子で一緒に調べ考えながら疑問を解決していきましょう。
さらに知的好奇心の刺激に欠かせないのは読書です。今まで知らなかった物事に触れた知的な充足感は、もっと知りたい、もっと学びたいという純粋な探求心を呼び起こします。
考える幅を広げるための貴重な材料となる知的備蓄を増やしていきましょう。
②「なぜ?」と質問する
人間は誰しも質問されると反射的に考えてしまいます。
子供に「なぜ?」と質問することで考える習慣が身につき、頭の中の声を言葉として表現できるようになります。
重ねて「なぜ?」を繰り返せば答えを導き出した思考の癖やプロセスも認識できるので、より良い考え方を学ぶきっかけにもなります。
③選択させる
人生は選択の連続であり、選択には自己責任が伴います。
親に言われるがまま行動してきた子供には、選択時の思考力と責任感は身につきません。
お買い物、習い事、受験など様々な選択に迫られたときには、選択肢(情報、メリット、デメリット、リスク)を親が提示したうえで子供に選択させましょう。
さらに、選んだ理由(根拠)、やり遂げる意思(責任感)、目標や計画(本気度)まで子供にしっかりと考えさせ意思表示させることで思考力は鍛えられます。
④相手の立場に立って考える
現代も将来的にも求められるコミュニケーション能力の基礎は、相手の立場に立って考えることです。
価値観、思想、感情、生活環境なども含めた相手の立場を尊重・理解したうえで物事を考えることは、多様性を認め思いやりの心を育む第一歩です。
これはグローバル社会で様々な人との信頼関係を築くためにも必要な考え方です。
他者の立場に立つことで自分自身の価値観や思想を認識することもでき、自分を深く知るきっかけにもなります。
⑤目的意識を持たせる
勉強に限らず何事に対しても「何のためにやっているのか?」と考えさせて目的意識を持たせましょう。
叶えたい夢や職業があれば、それらを詳しく調べて自分には何が必要かをしっかりと考える。
そして、夢を叶える年齢から現在へ逆算して考えると「今、やるべきこと」が具体的に分かり自主的に行動できるようになります。
自分で考えて決めた目的や目標があればモチベーションも上がるので、実現するまで諦めずに挑み続けられます。
⑥人と違うことを恐れなくていい
日本は協調を重んじ他者と違うことに不安感を抱かせる空気が漂っています。これは学校のクラス内でも同様。
「みんなが言ってる」「テレビで言ってる」といった同調圧力に押されっぱなしでは、多勢の意見が自分の意見であると錯覚する悪い思考癖がついてしまいます。
子供の主体性を育むためには「人と違うことを恐れる必要はない」と親御さんが繰り返し伝える必要があります。
同調圧力に負けず、自分で考え、自分で決められる心の強さも育んでいきましょう。
⑦お手伝いをさせる
家族の一員として何かひとつでも毎日お手伝いをさせましょう。
やり終えたら必ず親御さんから感謝の言葉を伝えます。すると子供は、自分も役に立っているという自信が生まれ、他のお手伝いもやりたいと意欲が沸いてきます。
生活の基礎となる衣食住の管理に子供の頃から携わることは一人暮らしの際にも役立つ上に、自分に合った収納方法、より効率的な方法を自分で考えられるようになります。
お手伝いで子供の自主性、自己管理能力、責任感、自立心を促していきましょう。
⑧事実と意見を仕分ける
各メディアに溢れる様々な情報には事実と意見が混在しています。これは事実なのか?それとも意見なのか?を考えて仕分けることができれば、根拠のない情報に惑わされることはありません。
自分から発信する場合も、事実とするなら根拠を示す、意見であれば主語を明確にするルールをつくります。
絵本、雑誌、新聞などを利用すれば事実と意見を仕分ける練習ができますよ。
また、相手の立場や状況によって事実は複数あるということも教えていきましょう。
参考記事:[英語子育て] グローバルで活躍できる子供に必要な10のスキル
⑨書いて考える「思考ツール」を使う
問題が起こった場合、ただ悩んでいるだけでは解決できませんね。
頭が整理できない、何をすべきか分からないときは、問題を文字や図で可視化して解決へと導く「思考ツール」の活用をおすすめします。
以下で紹介する本をはじめ、子供にも分かりやすい思考ツールを紹介した本がたくさん出版されているので、親子で一緒に取り組んで考える力を高めていきましょう。
「考える力の育て方」 著者/飛田 基
世界で800万人が実践! 考える力の育て方――ものごとを論理的にとらえ、目標達成できる子になる
「世界一やさしい問題解決の授業」 著者/渡辺健介
「入門 考える技術・書く技術」 著者/山崎康司
➉自分の考えをアウトプットさせる
子供が自分で考えたことをアウトプットさせるためにも親子の会話は大切です。
たとえ子供の考え方が間違っていたとしても頭ごなしに否定することはせず、なぜそのように考えたのか理由を聞き入れてから修正していきます。
会話 → 刺激を受ける → 知的好奇心 → 発信欲アップ → 会話
このサイクルを家庭で回すと自分の考え方の癖が分かり、論理的かつ柔軟で、深堀りできる思考力を高めることができます。
まとめ
思考力の基礎は、因果関係を整理して順序立てて考えること、他者に分かりやすく説明することです。これは、友人間からビジネスまで幅広いコミュニケーションで必要となる考え方です。
幼い頃から思考力を身につけておけば、自分の意見をしっかりと伝えられ、様々な問題に冷静に対処することができるようになります。
まずは子供に「なぜ?」と質問を繰り返し、しっかりと自分で考える力を伸ばしてあげましょう。