「子どもができるだけ小さいうちから英語の音声に触れていないと、ネイティブの人が話す英語を聞き取れるようになれない」
こういったことを耳にしたことがある人も多いでしょう。
いわゆる「英語耳」は、英語の発音やイントネーションがそのまま自然に聞こえてくる状態のことをいいます。
英語耳は何歳までに作られるの?
人間の耳は3歳~7歳ごろまで急速に発達してほぼ完成し、その後は横ばいで加齢とともに徐々に衰えていく、と言われています。「ゴールデンエイジ」と言われる年代です。
理化学研究所の研究成果によると、日本語独特の母音を挿入して聞く「日本語耳」は生後14カ月から獲得されるそうです。
つまり、「日本語耳」が形成される1歳頃までに英語をたくさん聞かせてあげれば、英語の発音やイントネーションがそのまま自然に聞こえてくる「英語耳」を持つことができるということです。
しかし、この英語を聞く環境を維持しないと、「日本語耳」の発達に伴い、「英語耳」がなくなり、徐々に英語が聞き分けられなくなってくるそうです。
日本人は英語を聞き取るのが苦手
日本人にとって英語のリスニングが難しいのは、日本語と英語では、音声の面で違いが大きいことにも理由があるようです。
1つ目は周波数で、英語と日本語では音の周波数が異なるという研究結果があります。
低い周波数の日本語に慣れてしまうと、高い周波数の英語は耳が「単なる音(=雑音)」と認識してしまうようです。
2つ目は、日本語の音韻体系が英語と大きく違うということです。
例えば、有名な世界的ハンバーガーチェーン「McDonald」は、英語では3音節ですが、日本語のカタカナ発音では母音を挿入して「ma.ku.do.na.ru.do」と6音節になるため、英語を話す人にこれが「McDonald」と絶対に通じない、というのは有名な話です。
他にも、日本語にはない音をもつ母音や子音(LやR)があること、英語は話す際に単語同士がつながることによって、またさらに異なる音に聞こえてしまうことなど、さまざまな理由がありますね。
幼児期の英語環境が大切
これらのことから、「英語耳」を育てるという観点で考えると、1歳になる前から3歳頃までに英語の音にできるだけたくさんふれ、引き続き8歳頃までは英語環境にふれていることが理想的と言えるでしょう。
私は年少さんからのオールイングリッシュの英語教室で、幼児さんたちに教えています。「教える」というよりは英語で一緒に遊ぶ、という感覚の方が近いかもしれません。
大人から見るとたった3歳の年少さんでも、はじめて英語にふれると、すんなりと受け入れる子もいる一方で、「えっ?わかんない!」という反応をする子もいます。
「3歳で、もうそれだけ日本語が定着してきているということなんだな」、と感じます。年少さんたちも1年たつと、恥ずかしがることなく英語らしい発音でリピートしたり、受け答えができるようになってきますよ!
どうやって英語環境を作るの?
では、英語耳を育てるためにはどのような環境を作ってあげればよいのでしょうか?
忙しいお父さんやお母さんでも取り組めそうなCDのかけ流しは効果的なのでしょうか?
おそらくCDだけでは効果は低いでしょう。音声では英語でも、意味のわからないものでは、ただの「音」に過ぎません。
赤ちゃんが日本語を習得する過程を考えてみると、ただ眠っているだけの頃から、私たちまわりの大人がたくさん話しかけて、赤ちゃんが「アー」と言ったり、笑っただけでもたくさんほめて話しかけてきましたよね。
赤ちゃんが泣いていたら心配そうな表情をしながらあやしたりなど、意味のある音声と、それに加えて表情やジェスチャーなど双方向のコミュニケーションの中で習得しています。
まだ字が読めない子どもにとっては、DVDや絵本など視覚的なものと組み合わせて取り入れたり、お父さんお母さんも英語で一緒に歌ったり体を動かしながら使う中で、自然に英語にふれるようにできると良いですね。
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いつから英語を始めたらいいの?
お子さんの英語スタートの時期をいつ頃にするか、については各ご家庭でお考えがあると思います。
日本語もまだできないのに混乱するのでは?と心配する声も聞きますが、3歳頃までは英語と日本語を区別することなく受入れて聞き、それを成長するに従い使い分けていくのだ、と聞いたことがあります。
実際に、知り合いの大学生は3歳頃から英語を習い、「リスニング力ときれいな発音が身に付いて世界中どこにでも行ける自信がついたし、そんな環境を作ってくれた親に感謝している」、と教えてくれました。
英語耳を養うためにたくさん英語に触れることによって少しずつ話せるようにもなってきます。
お父さんやお母さんにも、お子さんと一緒に英語環境を楽しむことと、色々な体験の中でお子さんの「できた!」をたくさん認めてあげながら、お子さんとコミュニケーションをとってもらえたら素敵だな、と思っています。